カフェと喫茶店。どう違うのかよくわかってないかも。
確かにイメージだけで何となくの違いになっていますね。
「カフェ」と「喫茶店」の違いは、一般的に見た目やイメージに関連することがあります。
一般的な認識としては、オシャレで明るい雰囲気の場所を「カフェ」とし、昭和のレトロな趣の店を「喫茶店」と定義しているのではないでしょうか?
また、セルフサービスや半セルフサービスの店は「カフェ」であり、店員が席までサービスを提供する場所は「喫茶店」と見なされることもあります。
しかし、外見だけでは「カフェと喫茶店」の違いを正確に区別することは難しいこともあります。実際に、カフェのような雰囲気を持つ喫茶店や、喫茶店のように感じるカフェが存在します。
つまり、見た目だけでカテゴリー分けするのは困難なのです。
そこで今回の記事では日本国内において「カフェ」と「喫茶店」の違いはどのように決められているのかを解説していきます。
主な違いは「営業許可」(2021年5月31日以前)
2021年6月に食品衛生法という飲食業に関わる法律が改正されるまでは、カフェと喫茶店では「営業許可証」の内容に大きな違いがありました。
2021年6月の法改正前「カフェ」と「喫茶店」の違いは、主に営業許可に関連していました。
「カフェ」と「喫茶店」が飲食店として運営するために申請するための許可に違いがあったのです。
飲食店営業許可を取得している場合、通常その場所は「カフェ」として見なされています。
一方、喫茶店営業許可を取得している場所は「喫茶店」と見なされます。
「営業許可」内容の違いは(2021年5月31日以前)
通常、喫茶店営業許可を取得することは比較的簡単で、「喫茶店営業許可」ではアルコールの提供や、単なる加熱を超える調理作業は許可されていません。そのため、喫茶店として提供できるものは、主にコーヒーや紅茶、菓子、果物、軽食などに制約があるのです。
一方、カフェは飲み物にアルコールを含めることができ、時には「カフェ飯」として有名なお店やレシピ本があるように、調理された料理も提供することができるようになっています。
ただし、店の名前に関しては飲食店営業許可が「カフェ」である場合でも、「喫茶店」と名乗ることができますし、逆もまた然りです。これにより、店名から正確な区別を得ることは難しくなっている状況となっていました。
新しい営業許可制度とその影響
2021年6月1日に発効された食品衛生法の改正に伴って、喫茶店の営業許可は廃止され、飲食店営業許可に包括されることが決定されました。
このため、現在ではカフェと喫茶店の法的な差異は存在せず、これらのビジネスは単に店名や一般的なイメージによって区別されています。
ただし、特例として、2021年5月までに喫茶店の営業許可を受け、許可証が有効な期間内にある喫茶店は、その許可を保持しながら、以前と同様に運営することができます。
なお、2021年6月以降に新たに発行される飲食店営業許可証には、以前の飲食店営業許可と比べて提供できる商品の幅が拡大されています。
具体的には、改正前にはカフェでケーキを製造販売する場合、飲食店の営業許可とは別に菓子製造許可も必要でしたが、改正後は飲食店の営業許可だけでケーキの調理販売が認められています。
カフェと喫茶の歴史的な違い
カフェと喫茶店はどちらもコーヒーや軽食を提供する場所として知られていますが、その歴史や文化的背景には大きな違いがあります。
ここからは、海外と日本の事例を通して、カフェと喫茶の違いを解説します。
海外のカフェ事情
まずは日本より先にカフェ文化が始まった、海外のカフェ事情についてみていきましょう。
1. 起源と発展
カフェの起源は、17世紀のヨーロッパに遡ります。
初めてのカフェはイスタンブール(当時のオスマン帝国)に登場し、そこからヨーロッパ各地に広まりました。イギリスでは「コーヒーハウス」として知られ、フランスでは「カフェ」と呼ばれました。
カフェは単にコーヒーを提供する場所ではなく、知識人や芸術家が集い、政治や哲学、文学について議論する場としても機能しました。
パリのカフェ・ド・フロールやカフェ・ド・ラ・ペなどは、サルトルやヘミングウェイといった著名な人物が集う場所として有名です。
2. 現代のカフェ文化
現代のカフェは、伝統的なコーヒーハウスの役割を引き継ぎつつ、より多様なメニューやサービスを提供するようになりました。
エスプレッソやカプチーノ、ラテといった多彩なコーヒードリンクや、サンドイッチ、サラダ、ペストリーなどが一般的に提供されています。
また、カフェはフリーWi-Fiや快適な座席を提供し、リモートワークや社交の場としても利用されています。
スターバックスやカフェ・ネロといった国際的なチェーンも、カフェ文化の普及に大きな役割を果たしています。
日本の喫茶店
日本では「喫茶店」文化と「カフェー」の始まりからみていきましょう。
1. 起源と発展
日本の喫茶店の起源は、20世紀初頭に遡ります。1900年代初頭に、東京の銀座や浅草といった地域で、欧米のカフェスタイルを模倣した「カフェー」が登場しました。
しかし、これらのカフェーはしばしば社交の場や娯楽施設としても機能し、純粋なコーヒー提供の場としては発展しませんでした。
戦後、1950年代から1960年代にかけて、純喫茶と呼ばれる形態が普及しました。
純喫茶は、アルコール類を提供せず、コーヒーや軽食を中心に提供する場所です。これにより、喫茶店はより日常的な場として定着しました。
2. 現代の喫茶文化
現代の日本の喫茶店は、多様な形態があります。レトロな純喫茶から、現代的なカフェスタイルの店まで様々です。
純喫茶では、コーヒーだけでなく、クリームソーダやナポリタンといった独自のメニューが人気です。また、昭和の雰囲気を残したインテリアや、レコードで音楽を楽しむことができる店もあります。
一方で、スターバックスやタリーズといった海外チェーンも日本で広まり、現代的なカフェスタイルが定着しています。これにより、喫茶店とカフェの境界は次第に曖昧になりつつあります。
カフェと喫茶店
カフェと喫茶店は、その起源や発展の過程で異なる文化的背景を持っています。
海外のカフェは知識人や芸術家が集う場所として発展し、多様なメニューやサービスを提供する現代的な空間として進化しました。一方、日本の喫茶店は、純喫茶という独自の形態を持ちながら、昭和の雰囲気を残したレトロな空間として親しまれています。
このように、カフェと喫茶店はそれぞれの地域や時代の背景を反映しながら、コーヒーを楽しむ文化を育んできました。それぞれの特徴を理解し、異なる文化の魅力を楽しむことができるでしょう。
カフェと喫茶店はイメージの違い
カフェと喫茶店では、それぞれ異なるイメージを持っています。
一般的にカフェは若い世代向けのイメージが強く明るい雰囲気やオシャレな内装、インスタ映えなど多岐に渡ります。
喫茶店は中高年向けや昭和以前のヴィンテージな雰囲気の純喫茶を想像させるのではないでしょうか。
かつては、カフェと喫茶店は異なる営業許可申請が必要で法的には区別されていましたが、2021年6月以降、喫茶店の営業許可が廃止され、どちらであっても「飲食店の営業許可」が必要になりました。
したがって、カフェと喫茶店の間に法的な違いや制約は存在していません。